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「医療の意味」とは何か?77歳患者の死◆Vol.17

スペシャル企画 2017年9月17日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――済生会中央病院時代、印象に残る患者さんを挙げてもらった。石飛氏が「医療の意味」を改めて考える契機となった患者さんでもある。 例えば、77歳の男性の患者さん。痛みを覚えて僕のところを受診した。歩行困難なので、介護者に車椅子に乗せられてきた。見ると足の色が悪くなっており、すぐに足の血行障害が起きていると分かった。 急性の症状で、時間が経つにつれ、足が腐っていく状況だった。患者さんは「歩けないんだったら、生きている意味がない。治してくれ」と訴えた。「詰まった動脈を通す手術がある。その手術をすれば、再び歩けるようになるかもしれない」と説明したら、「ぜひ手術をしてほしい」と。足の血管に問題がある場合、心臓や頸動脈などの障害も考えられるが、術前の検査結果に異常は見られなかった。 77歳という高齢だったが、手術に踏み切ったところ、手術中、急に血圧が低下、ショック状態に陥った。心電図に変化が見られ、重篤な急性心筋梗塞を起こしたのだった。心臓マッサージをしながら何とか手術を終え、ICUで管理。ご家族に事情を説明したところ、「足を治してもらうだけのはずなのに、なぜこんなことになるのか、納得できない」と...