1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. ホスピスの祖、「シシリー・ソンダース」訪問◆Vol.18

ホスピスの祖、「シシリー・ソンダース」訪問◆Vol.18

スペシャル企画 2017年9月18日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

――手術を手がけつつも、高齢患者などに「手術をやる意味」を考えるようになった石飛氏。1998年の夏、受け持ち患者の紹介で、ホスピスの祖とされるイギリスのシシリー・ソンダースのもとを訪ねた。 全ては、偶然が糸でつながれているように思う。あれはちょうど、現代医療に限界を感じていた頃だった。「頑張れ、頑張れ」などと、人生の最期を迎える過程でも、抗がん剤の点滴をとことんやらなければいけないという風潮があった。ロンドンの郊外にある、シシリー・ソンダースのホスピスを尋ねたのは、そんな時だった。彼女が、セント・クリストファー病院の隣に、ホスピス病棟を作ったのは1967年のこと。 シシリー・ソンダース訪問のきっかけとなったのは、僕の受け持ちの患者さん。元アイオワ大学の倫理学の教授で、その時は青山学院大学の教授だった小原信さんという人がいた。とても威勢のいい方だが、ある夏、学生とテニスをした後、脱水がきっかけで足の静脈が詰まってしまった。すぐに済生会中央病院に搬送され、僕が手術をした。無事、手術は成功し、足も元通りになったので、とても喜んでくれた。 その小原さんから聞いた。「学生たちが千羽鶴を折って、セ...