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裁判の9年、逆境にめげず手術続行◆Vol.20

スペシャル企画 2017年9月20日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

――勤務先相手に裁判をしていた9年近く、どんな思いで臨床を続けていたのだろうか。 副院長室はもちろん取り上げられた。牢屋敷みたいな部屋に机を置かれた。2カ月ごとに僕は院長室に呼ばれては、新たに就任した院長から、向こう(病院側)の弁護士が書いた書類を渡された。「あなたはもうここの職員ではありません」という内容だった。それに対し、「いや、私はここの職員です」と返した。解雇無効を争っているわけだから、最終的に決着が付くまで主張できると考えていた。 解雇を言われる前まで出席していた会議に出ようとした時には事務員から、「先生、この会議には出る資格はないんですから、ここは通らないでください」と制止されたこともあった。けれども、「お前たちには迷惑かけないからさ」などと言って、会議では発言もしていた。 僕の手術の予定が入ると、院長が、「許可なく、手術をしてはいけない」と書類を持ってきたこともあった。それに対し、僕も負けず、「患者が来る以上、責任を果たす」という内容で弁護士に書類を書いてもらい渡した。患者が来る以上、手術を止めるわけにはいかない。手術中、ずっと僕の後ろに院長が立っていたこともあった。「失...