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「いい加減にしろ」家族とも喧嘩◆Vol.23

スペシャル企画 2017年9月23日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

――芦花ホームにおいて「平穏死」の取り組みを始めた以降、入所者の家族と喧嘩したこともあるという。どんな理由からだったのだろうか。 ある有名な企業の重役の母親が、誤嚥性肺炎で病院に入院し、もう退院していいことになったが、息子さんである重役は、母親に「胃瘻を付けたい」という。理由を聞いたら、「あと2カ月でひ孫が生まれます。うちの娘は、おばあちゃん子で、『おばあちゃんに、ひ孫を見せたい』と言っているのです。その確実な方法は、胃瘻を付けて生きてもらうこと」だと。それを聞いた時に、僕は腹が立ったね。 「いい加減にしろ」「あんたの人生じゃないだろう。それはあんたのエゴだ」。さすがに彼は泣いたよ、僕の前で。結局、母親は、胃瘻を付けることなくホームに退院してきて、ちゃんと自分で好きなもの食べて、3年生きたよ。ひ孫も、しっかり抱っこしてね。 ――一方で、入所者やその家族から多くのことを学んだ。その一つが「三宅島の言い伝え」だ。 芦花ホームには、2000年に三宅島が噴火した際に、東京に避難してきた高齢者が数名入所していた。そのうちの一人、当時87歳の女性が、誤嚥性肺炎になり入院。その息子さんは三宅島に帰っ...