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納得できる最期と“死”、自ら選ぶ◆Vol.30

スペシャル企画 2017年9月30日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

――第一線の外科医時代も、その限界を感じつつ、メスを握っていた石飛氏。その人生を振り返ると、幼少期から「死」に直面する機会があるたびに、“振り子”のように揺れながら、人生の意味、医療の意味を考えていたように受け取れる。 僕は5人兄姉の末っ子。しかも、すぐ上の姉とは5つ離れているから、いつも一人で好きなように遊んでいた。親父が40歳の時の子どもということもあり、かわいがられもした。その親父の母親、僕の祖母は、尿毒症のせいもあって、「時々突然怒り出して、恐ろしいおばあちゃんだなあ」なんて思っているうちに、寝たきりになり、台所に近い部屋に寝かされるようになった。そしてしばらくして息を引き取った。親父は商売をやっていたものだから、親父を先頭に、皆が白い装束を着て、戦時中ながら、盛大なお葬式をやってね。「ああ、人間が亡くなるというのは、こういうことなんだ」と、まざまざと子ども心に感じた。 僕自身、小さい頃、腹が痛くなって、一人で寝ていることも時々あった。お袋に梅干しをなめさせられながら、なぜか「ああ、ばあさんみたいに、僕もいずれ死ぬんだろうなあ」「死んだらどうなるんだろうなあ。どういう世界に行く...