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「在宅ネット・さが」に見る「草の根」の地域包括ケア◆Vol.2

レポート 2017年10月8日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――「在宅ネット・さが」をスタートさせた経緯をお教えください。 私は消化器、特に肝臓が専門で、2000年に佐賀市内で開業した当時から、在宅ホスピスに取り組むことを目指していました。 私は1986年に産業医科大学を卒業し、2年の研修後、臨床系大学院に進みました。いつも末期の肝がん患者さんばかりを受け持っており、その頃から「一度でいいから家に帰してあげたい」との思いを抱いていました。当時は、がんの告知を行ってはいけないという時代であり、ターミナルケアの技術なども普及していなかった。「その人の本来の居場所ではない場所で、真実も告げられず、人生最大の危機に腹を割った話もできないまま、病室の白い天井と白い壁を眺めて過ごすのはおかしい」――。まだ研修の身ながらそう考えていたわけです。 実家は長崎県諫早市で開業していたため、卒業後は長崎大学の医局に所属しました。開業直前には国立佐賀病院(現国立病院機構佐賀病院)に勤務していたものの、佐賀市にはあまり土地勘がなく、知り合いも少なく、開業当初は在宅ホスピス依頼はほとんどなく、年間の在宅看取りは1、2人くらいでした。 「在宅ネット・さが」代表の満岡聡氏(医...