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医療費のコントロールは可能-二木立・日本福祉大学相談役に聞く◆Vol.3

インタビュー 2017年10月22日 (日)  聞き手・まとめ:高橋直純(m3.com編集部)

――最新の「概算医療費」は41.5兆円(2015年度)となり、過去最高となりました。 急増したのはC型肝炎治療薬のオプジーボなどの高額薬剤が原因です。しかし、高額薬剤の薬価がすぐに大幅に引き下げられた結果、2016年度の概算医療費は41.3兆円で、伸び率はマイナス0.4%に減少しました。両年度を合わせた医療費の伸び率はそれ以前と変わりません。医療費については単年度の伸びに一喜一憂すべきではありません。 確かに、医療技術の進歩は医療財政にも大きな影響を与えます。過去にも医療技術の進歩により医療財政が破綻するという議論はありました。1950年代の結核医療費、1970年代の人工透析、1980年代にインターフェロン療法などが出てきたときも保険財政が破綻すると叫ばれました。 しかし、これらの医療費もその後、十分にコントロールされました。歴史的、世界的に見ても医療費が増大して破綻した国はありません。例えば透析患者は1980年の3万6397人から2010年には32万448人と8.8倍に増えましたが、透析医療費は5725億円から1兆5061億円と2.63倍にとどまっており、完全にコントロールされていま...