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コンサルタントの調査【連載小説「朔風」第103回】

スペシャル企画 2017年10月24日 (火)  久間十義(小説家)

[あらすじ・登場人物はこちら] [連載第1回はこちら] コンサルタントの那須洋介は富産別に到着すると、大迫院長への挨拶もそこそこに、院長の許可を得て、先ずバトラー病院の建物内部を詳しく見て回った。 医師や看護師の準備室から始まって、各科の診察室、病棟、ナースステーション、地下のリハビリ・センター、手術室、食堂、薬局・薬剤庫、会議室(元カンファレンスルーム)、リネンや医療機材をしまってある倉庫室などなど……。挙句の果てはボイラー室やゴミの焼却施設にいたるまで、くまなく彼は精査したようだった。 それから市の地図を広げて駅やバス停留所の位置、区間距離、交通機関の発着状況について調べた。浜産別や山産別をはじめとした富産別市の各集落と病院とのアクセスについて、病院担当の市職員も交えていろいろ把握する様子だった。 彼は次々と訊いていった。「富産別に隣接した他の市町村、つまり市の周辺の地域でバトラー病院に患者が通ってくる範囲はどれほどになりますか?」 「周辺の地域の人口はどうなりますか? またその動態を直近10年ほどにわたる資料として手に入れることができますか?」 人口調査については各年齢別の人口構...