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無罪判決から9年、「医師が無理しなくなった」- 澤倫太郎・県立大野病院事件特別弁護人に聞く◆Vol.3

スペシャル企画 2017年11月29日 (水)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――2008年8月の無罪判決から9年が経ちました。県立大野病院事件は、産科医療の現場にどんな影響を及ぼしたとお考えですか。 分娩施設が減ったことが大きいでしょう。日本産婦人科医会が2016年10月に公表したデータでは、分娩施設は、2007年は病院1087施設、診療所1644施設。2016年は病院1010施設、診療所1382施設。病院のうち、一般病院(882施設⇒607施設)は減少、一方、地域周産期母子センター(198施設⇒298施設)、総合周産期母子センター(67施設⇒105施設)は増加しています。 あと臨床現場で感じるのは、「無理なことする」のが常だったけれども、それが変わってきたこと。人を助けたときの素晴らしさを感じ、信頼を得るには、それも一つの教育だった。 けれども今は、「職人なんだから、俺たちは。頑張るんだ」などとは、あまり言えなくなりましたね。今、医師の「働き方改革」が議論されていますが、私たちの世代は、「先生たちが頑張り過ぎたから」などと言われています。 澤倫太郎氏は、県立大野病院事件の日々をいまだに鮮明に記憶しているという。 ――県立大野病院で加藤先生が「1人医長」でした...