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厚労省医事課長の“21条発言”、偶然の産物 - 有賀徹・労働者健康安全機構理事長に聞く◆Vol.2

スペシャル企画 2017年11月15日 (水)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――2011年3月に発生した東日本大震災の対応もあり、厚労省が「医療事故に係る調査の仕組み等のあり方に関する検討部会」を設置し、議論を再開させたのは、2012年2月です。先生も構成員の一人でした。 私が構成員として選ばれたのは、日本救急医学会でいろいろメッセージを出していたからでしょう。また、2011年4月に昭和大学病院長に就任してからは、全国医学部長病院長会議の「大学病院医療事故対策委員会」の委員長も務めていました。 ――検討部会で印象に残っている議論、場面はありますか。 「なぜこんな議論になるのか」と思うことが度々ありました。「新しい仕組みを作ると、その仕組みによって自分たちの業界が潤う」、つまり利益相反状態に陥るメンバーが入っていたのは紛れもない事実。私たちは「学習を目的とした報告」、つまり医療安全という本来目的に向けて直球を投げようとしていたけれど、事故調査の報告書を裁判に使うなど、その目的とは違う付加価値を付けようと考えていた人がいました。だから院内調査に外部委員を入れるとか入れないとか、患者さんに事故報告書を渡すとか渡さないとかといった辺りで、検討部会の議論はガタガタしてい...