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東日本大震災の教訓で災害医療体制は進化 - 石井正・東北大学病院総合地域医療教育支援部教授に聞く◆Vol.3

スペシャル企画 2018年1月10日 (水)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――東日本大震災の当時の話に戻りますが、「インターネットも携帯電話もつながらなかったことが、トラウマだった」と言われました。その他、「こうすれば良かった」など、今後の災害への教訓はありますか。 これは講演などの際によく話すのですが、一つは、地域の病院支援という視点が決定的に欠けていたこと。これが一番の反省点です。後になってお聞きすると、入院患者が取り残されたままの精神科病院などがあり、病院支援に至らなかったことについてお叱りを受けたこともあります。 災害対応には、情報通信手段の重要性であることから、そのインフラ整備の必要性を訴える。 言い訳にはなりますが、石巻赤十字病院には、多数の被災者、傷病者が来て、自分たちのことで精一杯だったので、他の病院への支援まで頭が回らなかったことが第一の原因。また「津波で全壊したようなので、今さら支援に行っても……」という思い込みもありました。 もう一つの反省点は、これは大学に戻ってから実感するようになったのですが、行政との連携の在り方です。震災当時、行政とはある程度、うまくやっていると思っていたのです。石巻市の担当課や保健師さんとは頻繁に連絡を取り合って...