1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 地域医療の担い手養成は「社会の総力戦」 - 長崎大学◆Vol.3

地域医療の担い手養成は「社会の総力戦」 - 長崎大学◆Vol.3

スペシャル企画 2018年6月28日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――地域医療教育の充実に当たって、どんな点に苦労されたのでしょうか(地域医療教育の詳細は、『離島医療・保健実習、医学生全員が必修』を参照。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療学分野教授の前田隆浩氏と、長崎大学医学部地域包括ケア教育センター・センター長の永田康浩氏へのインタビュー。文中、敬称略)。 前田 教育に対する予算の確保と安定した組織作りです。地域医療教育を実施するには、当然ながら、地域に出なくてはいけません。医学生たちの交通費、宿泊費のほか、医学生を受け入れる側への謝金なども必要になります。大学の運営費交付金が減額される中で、これらアカデミックではない分野の予算を確保するのは結構大変です。 また安定した組織作りですが、「医学教育モデル・コア・カリキュラム」に地域医療教育を入れて、推進するのであれば、大学にも正規の講座を置くべきです。私が所属する長崎大学大学院医歯薬総合研究科地域医療学分野のように正規講座を持っている大学はまだ少ないのが現状。期限付きの寄附講座では不安定であり、そこに優秀な指導者を集めるのは難しいでしょう。 一方で、地域における大学の拠点も必要です。大学ではなく...