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長崎大“熱研”、前身は東亜風土病研究所◆Vol.2

スペシャル企画 2018年8月2日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――長崎大学において、「原爆後障害医療研究所」と並んで有名なのが、青木氏が所属していた「熱帯医学研究所」。通称「熱研」は、日本における熱帯医学研究を目的とする唯一の公的機関だ。熱研、ひいては長崎大学が海外展開を図る意義、目的はどこにあるのだろうか。 2016年アフリカ開発会議(TICAD)関係の講演で青木氏が使用したスライド(提供:青木氏) 熱研の歴史をたどりましょう。長崎大学の前身である長崎医科大学の時代、1942年3月に「長崎医科大学附属東亜風土病研究所」が発足しました。 風土病研究の歴史は、ヨーロッパ諸国による植民地医学が起源です。16世紀頃、ヨーロッパ諸国の白人たちが植民地政策でアフリカなどに行っても、マラリア、住血吸虫症、睡眠病といった熱帯病で死亡してしまうことが多かった。これらの風土病はヨーロッパにはなく、彼らにとっては「未知の病気」だったことから、研究が始まりました。 日本は、昭和の初期、中国大陸との交通が頻繁になってきたので、大陸の風土病の研究を開始。長崎医科大学は東亜風土病研究所を設立し、漢口(現:武漢)でコレラなどの風土病の研究を始めました。私の親戚で、後に長崎大学...