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1960年代からケニアで医療協力と研究開始◆Vol.3

スペシャル企画 2018年8月3日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

――日本で培った風土病研究の経験を生かし、長崎大学風土病研究所が海外展開を開始したのは1964年のことだ。1967年に同研究所は、熱帯医学研究所に改称した。 1964年、京都大学霊長類研究所の今西錦司教授による「アフリカ類人猿学術調査」の一員として、林薫先生という当時のウイルス学研究室の講師が同行。それが長崎大学が、アフリカでの活動を始めた最初です。林先生の報告に刺激を受けたのが、私の恩師に当たる片峰大助先生(寄生虫学研究者で、熱研の第二代所長)。「アフリカには、日本で撲滅した病気や風土病がまだたくさんある。長崎大学はその研究をやるべき」と主張された。長崎の経済界などから寄付を集めて、片峰先生を含めて計4人で、タンザニアなど東アフリカ3カ国で4カ月間、寄生虫病について研究したのが、1965年です。 長崎大学熱研の第二代所長の片峰大助氏らが、タンザニアで現地調査を行った(提供:青木氏) 林先生と片峰先生の調査実績が評価されたのでしょう。1966年には、文部省(当時)の科学研究費・海外学術調査に申請した課題「アフリカにおける熱帯病研究」が採択されました。この研究課題は、この年に採択された1...