1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「血尿が止まったら、大人になった証拠」◆Vol.4

「血尿が止まったら、大人になった証拠」◆Vol.4

スペシャル企画 2018年8月4日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

――青木氏は、熱帯医学においては、医療者だけにとどまらず、学際的に取り組む重要性を説く。その例として、ケニアにおける住血吸虫症の研究の一端を挙げた。 熱研における研究は、論文を書くことが第一目的ではありません。熱帯病で苦しむ人々をいかに救うかが重要であり、そうでなければ他の医学研究と変わらないと思います。アフリカの人々にどう還元できるかを意識しながら研究するのが、熱研の一番の取り柄です。 その実現には、医学の力だけでは不十分。文化人類学、環境工学など、さまざまな知恵を集結することが必要。熱帯医学研究所を全国共同利用研究所としているのはそのためです。恩師の片峰大助先生が、「熱帯病を研究し、撲滅するためには、われわれが知っている最先端の戦術と戦略だけで戦っていたのではダメ。学際的な研究が必要」といつも言われていました。 青木克己氏(撮影:松村琢磨) 熱帯医学の研究者たちは、ワクチンをはじめ、熱帯病に関するいろいろな“武器”を作ってきました。もちろんこれらも重要。しかし、私が30年近くアフリカで住血吸虫症対策に取り組んできた経験から言えば、それらの“武器”は日本では有効であっても、アフリカで...