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五島での学生実習、生涯の師に出会う◆Vol.7

スペシャル企画 2018年8月7日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

――青木氏が寄生虫学という基礎研究の道に進むことになったのは、医学部3年生の時の実習がきっかけだった。 ハエや蚊などの衛生昆虫を採取し、研究するという課題が夏休みに出されました。しかし、「五島(長崎県)で、蚊の採取に協力するなら、その課題が免除される」ということで、1週間、五島に行きました。当時、そこでフィラリア症の治療と対策に取り組んでいたのが、後に私が指導を受けることになる片峰大助先生(寄生虫学研究者で、長崎大熱研の第二代所長)。片峰先生のお手伝いをすることになったのです。 フィラリア症は、だいたい午後9時以降にしか診断できないという非常に面白い病気。フィラリアは、夜にしか血液中に出てこないからです。その理由はいまだに分かっていません。私たちは午後8時くらいになったら準備を開始し、午後9時すぎに、地域の公民館に行き、住民に集まってもらい、そこで採血。午前0時頃に、五島の研究拠点に戻ってくる。血液を乾燥させ、翌朝に溶血させて、染色、それを顕微鏡で観察する。蚊を採りに行く仕事もあり、昼間に帰ってくると、さすがに眠くなってしまう――。そんな生活でした。ある時、昼寝をしていたら、片峰先生に...