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「毎朝6時に患家に行け。吸血した蚊を集めろ」◆Vol.9

スペシャル企画 2018年8月9日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

――大学院3年目からは、韓国の済州島で、日韓共同によるマレー糸状虫症の研究に取り組んだ。 フィールドが違えば、フィラリアの種類も異なります。日本で流行していたのは、バンクロフト糸状虫。一方、韓国ではマレー糸状虫が流行していました。種類が違えば、媒介する蚊も違う。感染した時の症状も異なります。韓国に行く前にはこうした基礎をしっかり勉強するよう、片峰先生から指導されていました。 共同研究先は、ソウル大学のSeo教授。当時、私は長崎でバンクロフト糸状虫仔虫の行動を、ビデオ録画装置で調べていたので、韓国にも持参し、研究を始めました。ビデオ録画装置は当時は貴重品。けれども、韓国に行って間もなく、故障してしまいました。そこで片峰先生は何を言ったか。「長崎に血液サンプルを持って帰って、観察しろ」。患者さんから夜に採血した後、朝一便で長崎に戻り、調べたこともあります。けれども、時間の経過とともに、フィラリアが弱っており、うまく観察できなかったのですが、片峰先生の研究に対する厳しさを物語るエピソードです。 これは笑い話。韓国の病院で、入院患者から採血する際、「お前、なぜ何で日本語しゃべるんだ?」と日本語...