ケニアプロジェクトの低評価に憤り◆Vol.17

――長崎大がかかわってきたケニアJICAプロジェクトは、外部評価を受けたことがある。 JICAが複数実施していたプロジェクトのうち、長崎大のケニアの住血吸虫症対策が低い評価を受け、私はものすごく憤ったことを今でも鮮明に覚えています。われわれは、寄生虫学に関する基礎論文、寄生虫病対策に関する疫学的な論文など、複数の論文をまとめていたのですが、主に二つの理由から、ケニア人研究者から批判を受けました。その一つは、研究成果の中に含まれていた住民への健康教育は、研究に当たらないということ。もう一つは、ケニア人がファースト・オーサーになる論文が少ないことです。 長崎大熱帯医学研究所にて（撮影：松村琢磨） 私は、JICAによる評価者の人選ミスが原因だったと思っています。評価に当たったケニア人研究者の専門は、解剖学であり、疾病対策研究の評価委員に入れるのは間違いです。われわれ長崎大学は、寄生虫対策から、寄生虫病対策、住民への健康教育まで一貫して取り組んできました。これは、他に誇れる素晴らしいプロジェクトだと考えています。評価方法や評価結果についてJICAにクレームを付けたところ、最終的にはJICAの担...