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長崎大の実力発揮、SARSやスマトラ島沖地震◆Vol.19

スペシャル企画 2018年8月19日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

――長崎大の熱研がプレゼンスを発揮するきっかけの一つとなったのが、2003年に中国を中心に、世界的にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際だ。 青木氏は2001年4月、熱研の所長に就任(撮影:松村琢磨) SARS流行の際、文部科学省は、海外での調査や情報収集も含め、感染症対策に力を入れるため、海外研究拠点づくりに乗り出しました。研究助成対象を公募したところ、複数の大学が手を挙げたのですが、採択されたのは4大学。その一つが、長崎大学のベトナムプロジェクトでした。他の3大学は、東京大学が北京、大阪大学がタイ、北海道大学がザンビアです。 私は熱研所長の立場で、文科省による審査のための書類作成とヒアリングに対応しました。文科省の官僚からは、「長崎大学のような小規模の大学が、これだけ大きな資金を使って、海外で本当に展開できるのですか。青木さんのところは、研究の実績は十分にあるが、それだけが心配」と言われたことを覚えています。その際に、役立ったのが、これまでのケニアなど海外プロジェクトの経験です。 後に述べますが、長崎大学には、国際連携研究戦略本部という特殊な部局があり、そこには民間の商社出...