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将来を急ぐ医学生、「課題設定型研究」を憂う◆Vol.25

スペシャル企画 2018年8月25日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

――長年、基礎医学者の立場として、最後は人材養成を目的とする長崎大学大学院国際健康開発研究科の科長を務めた立場として、昨今の医学生、医学教育に対して思うところがあるという。 (撮影:松村琢磨) 私の大学時代の同級生の一人である朝長万左男君(元長崎大学原子爆弾後障害医療研究所所長、元日本赤十字社長崎原爆病院院長)が、現役時代によくこう言っていました。「青木。近頃の学生はけしからん」「俺のところに来る学生は、『朝長先生。僕は先生のところに入ったら5年後はどうなってますか。10年後はどうなってますか』としょっちゅう聞く」。彼は「そんな学生は来なくていい。追い返す」と。 医学は「経験の学問」なので、医学部卒業後、どんな環境に置かれ、どんな人と出会い、どんな仕事をしてきたかによって、その後の人生が変わってきます。医師の中には、医師免許を取得して、私のように基礎研究の道に進む者もいれば、医療の世界から離れ、文化人になった人もいます。先行きが分からないというか、医師にとって進路の選択肢はたくさんあり、将来なんて、はっきりと見通せるはずがありません。それに、私たちの時代は、まずどこかの医局に入局した後...