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必要なのはシーリングではなく「底上げ」- 寺本民生・日本専門医機構理事長に聞く◆Vol.4

インタビュー 2018年9月28日 (金)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――その一方で、診療科の偏在はいかがでしょうか。勤務地の異動は条件次第で可能であっても、将来の転科は容易ではありません。新専門医制度でより重視すべきは、地域偏在よりも、診療科偏在の解消ではないかとも思います。 9月13日に取材。Vol.3は『カリキュラム制は「特別な理由」がある場合』を参照。 それはその通りだと思います。ただし、診療科の偏在をわれわれの方で何ができるかと考えた場合、領域別のシーリングしかないと思います。新専門医制度では、外科を目指す人が減っているということで、シーリングからは外しています。東京都の今年度の外科専攻医は、以前よりも増えています。産婦人科、病理、臨床検査もシーリングの対象外です。 ただそれにより、地域の外科医不足にまでは影響を与えておらず、少し心配な点もあります。シーリングにより、医師不足の地域に医師が行くようにならなければ、意味がないわけです。今年度は、「外科専攻医ゼロ」という県もあります。「シーリング検討委員会」では、「上限」ではなく、むしろ「フロア」、つまり「底上げ」を行うことが必要という意見が出ています。これはとても正しい意見だと思います。 ――その...