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重症児の麻酔、適切なリスク管理とは - 東京地裁判決を詳報◆Vol.2

レポート 2018年9月22日 (土)  大西裕康(m3.com編集部)

公益財団法人日本心臓血圧振興会の榊原記念病院(東京都府中市)で、心臓カテーテル検査時の麻酔薬選択や麻酔管理、血圧測定などの注意義務違反・過失を巡って死亡した男児の両親が財団に賠償を求めた訴訟に関する地裁判決の詳報。Vol.2では、争点に関する事実認定として、重症な先天性心疾患に罹患していた男児の病態や治療・検査の内容、詳細な診療経過を紹介する。 ■ 医学的知見 フローセン 男児の病態 男児の病態を踏まえた治療の方針と本件検査 ■ 診療経過(詳細) 争点に対する判断 (1)認定事実 前記前提事実のほか、証拠および弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ、これに反する証拠はいずれも採用することができない(「前提事実」についてはVol.1を参照)。 医学的知見 フローセン (ア) フローセンは、吸入麻酔剤であり、ハロタンに添加物としてチモール0.01%を添加した無色透明、揮発性、無刺激性のクロロホルム様のにおいがある流動しやすい液であり、効能および効果は全身麻酔である。ハロタンのAC50は、ラットで約1.2%、マウスで0.86%であり、その強さはクロロホルムの約1.5倍、エーテルの約5倍と...