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処方する医師が依存症の患者を生み出す―松本俊彦・国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長に聞く◆Vol.2

インタビュー 2018年10月14日 (日)  長倉克枝(m3.com編集部)

――患者さんの治療や回復につなげるために、依存症治療専門外の医師ができることは具体的にどのような情報提供や助言でしょうか。 例えば専門病院やダルク(薬物やアルコールの依存者が社会復帰を目指すリハビリ施設)や自助グループの情報です。たとえ本人に治療意欲がなかったとしても、依存症の治療は家族の支援から始まります。だから家族を支援先につなぎます。依存症の家族を支援する行政機関としては精神保健福祉センターが全国に69カ所あります。そのうち36カ所では、私達が開発した薬物依存症の治療プログラムである「SMARPP(スマープ)」をベースにしたプログラムが実施されています。 精神科医でも、精神保健福祉センターのことを知らない若い先生もいますが、精神保健福祉センターには精神科医や臨床心理士、保健師さんらがいて、精神科への造詣が深いですし、地域における社会資源や自助グループの情報も持っています。薬物依存症を回復につなげる社会資源はこのように確実にあります。ぜひそこを活用してほしいですし、これらを伝えるだけでも医師として大事なことです。 ――薬物依存症の専門ではない医師が、他の病気の診療中に薬物依存症者に...