1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 依存症は最も精神科らしく面白い―松本俊彦・国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長に聞く◆Vol.3

依存症は最も精神科らしく面白い―松本俊彦・国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長に聞く◆Vol.3

インタビュー 2018年11月3日 (土)  長倉克枝(m3.com編集部)

――薬物依存症専門の道を先生が歩まれたのはなぜでしょうか。 本当は嫌々だったんですけれど、じゃんけんで負けたから、というのが正直なところです。 ――じゃんけん? はい。大学を出たあとに横浜市立大学で研修をして、2年間の研修を終えて横浜市立大学の精神医学教室に入りました。統合失調症の精神病理、児童青年精神医学、精神療法に関心がありましたが、まずはジェネラルな精神科医になる必要があると思い、医局人事に従って最初は総合病院の精神科で働き、次に神奈川県立精神医療センターに配属されました。当時、神奈川県立精神医療センターは、芹香病院とせりがや病院の2つの病院があり、当初、僕は芹香病院の精神科救急の病棟に配属されました。精神科救急は措置入院もあり、精神科としては忙しいところですが、若い医師にとっては充実した職場なんですね。興奮状態で状態が悪い患者さんが、治療によって劇的に良くなる。それは自分の腕がいいからというより、激しい症状ほど薬が効きやすいということなんですが、自分の力だと誤解しながらだんだん自信満々になっていました。 そんな時にアルコール依存症や薬物依存症が専門のせりがや病院で、医長クラスの...