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理想の医療など、紛争地には存在しない - 白川優子・「国境なき医師団」看護師に聞く◆Vol.1

インタビュー 2018年10月8日 (月)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

シリアでは、民家を改造した“病院”の屋上に、マットレス1枚を敷き、蚊帳を張って就寝。南スーダンのマラカルでは内紛勃発、最寄りの空港は閉鎖され、食糧や飲料水にも困り、遺体の浮いたナイル川の水に塩素を入れただけの水を飲む――。 そんな過酷な環境下でも、国境なき医師団(MSF)の看護師、白川優子氏は、紛争地に医療援助活動に向かうことを厭わない。2010年に国境なき医師団に所属して以来、派遣先は、シリア、南スーダン、イエメン、パレスチナなどで、計17回に及ぶ。 その活動記録を綴ったのが、今夏上梓した『紛争地の看護師』(小学館)だ。国境なき医師団で活動するために看護師を目指したという白川氏。本書に込めた思いと、国境なき医師団の活動内容をお聞きした(2018年10月1日にインタビュー。全3回の連載)。 ――実はこの本、一気に読み進めることができませんでした。それは「いったいどんな状況だったのか」など、本に書かれているエピソードやその時々の白川さんの思いや立場について、想像を巡らせながら読んだからです。主観をあまり交えず、淡々と書いているエピソードはとてもリアルで、現地の状況がよく伝わってきました。...