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父の死、その「負のエネルギー」が人生の原点◆Vol.2

スペシャル企画 2018年11月2日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 小柳氏は1936年3月、新潟県上越市(旧高田市)で生まれた。 父は新潟県出身。北海道大学工学部卒で、東北電力の土木技師だった。水力発電所の建設に携わり、建設の現場に出張していることが大半で、たまに帰宅する時には、いつも大きな鞄を提げていた。その中に、ドイツ製の製図道具を入れており、家に帰ってきてからも、縁側で製図していた。私がそれに触ろうとすると叱られた記憶は、今でも鮮明に残っている。その代わりに渡された三角定規で、私は遊んでいた。 母の育ちは、東京。母方の祖父は、日露戦争にも行き、第一次世界大戦の時は、機関銃の工場を経営し、とても豊かな家庭だったとのことだ。母は明治生まれで、実践女学校を出ている。父は早くに戦死したけれど、母親は99歳7カ月まで生きた。私には姉が2人おり、3番目に生まれたのが、私。下に1人妹がいる。父が不在なことが多かった上に、父が戦死したこともあり、女系家族の中で育った。 幼稚園は、自宅向かいの聖公会紅葉幼稚園。戦争の最中の1942年、新潟第二師範附属小学校に入学した。 ── 実父が戦死したのは、1944年10月、42歳だった。 1936年に生まれた頃、母親に...