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心臓カテーテルの本邦初の教科書を執筆◆Vol.11

スペシャル企画 2018年11月11日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 1970年、4年上で、後に榊原教授の後任として、37歳で女子医大第一外科教授になった今野草二氏と『心臓カテーテル法』(南江堂)を上梓した。これは心臓カテーテル法の本邦初の教科書だ。 今野先生は4年上の先輩で、バルサルバ洞動脈瘤の世界的分類、心筋生検法の開発、左心室流出路拡大の「Konno手術」などにより、心臓外科分野では世界的にその名が知られていた先生である。 数々の業績を残したが、風貌や行動は、「白面の貴公子」。深夜、医局で自分一人と思って、ヘッドフォンでクラシックを聴きながら勉強していると、よく声をかけられたものだった。2人で、いつも深夜までいたということだ。 そんなある日、今野先生から「なかなか手術の順番が回ってこないから、2人で心臓カテーテルの研究をして、一緒に本を書かないか」と誘われた。「2年間は、本のためにメスをおいてくれないか」と――。 今でこそ、心臓カテーテルは、心疾患の診断と治療になくてはならないものだが、当時は黎明期で、日本語で書かれた教科書はまだ一冊もなかった。入局5年目の私が教科書を書いてもいいのか、と思いつつも、先生の誘いを受けた。 それから2年間は、本...