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42歳で自死した今野教授の教え◆Vol.12

スペシャル企画 2018年11月12日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 1970年、4年上の今野草二助教授が、37歳の若さで女子医大第一外科の主任教授になった。 榊原先生は60歳で主任教授を降りて、今野先生に道を譲った。 今野草二教授(提供:小柳氏) 今でもよく覚えているのは、主任教授に選ばれたその日の深夜のこと。いつものように、今野先生は医局の奥で勉強されていた。その姿を見て、なんとも言えない感動を覚えた。彼は身をもって、全人的教育を、私にしてくれたのだ。私の主任教授時代に教室に属した医師の中から、これまでに計15人の外科系教授を輩出した。選考前夜には、「明日、教授に選考されても、決して祝杯を挙げたり、するんじゃない。いつものように、仕事をするんだ」と話しかけていた。 今野先生が主任教授になると同時に、私も北里大学から女子医大に講師として戻ってきた。36歳の時だった。数カ月後には助教授にしていただいた。人工弁、生体弁、心臓移植、心臓の保存法、補助人工心臓など、その後につながる全ての研究が、この頃から始まった。これらはその後、全てが実を結んだ。 先にも触れたが、『心臓カテーテル法』の執筆を、入局5年目の私に声をかけるほど、今野先生は年功や学歴などに全...