1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「ありがとう」に喜び、「小柳先生」に違和感◆Vol.6

「ありがとう」に喜び、「小柳先生」に違和感◆Vol.6

スペシャル企画 2018年11月6日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

──聖路加国際病院のインターンの1年間は、どんな日々だったのだろうか。 研修で各科を回ったが、印象的だったのは、産科。一晩に10人くらい生まれるのに、医師は指導医1人とインターン1人のみのこともあった。「そっちやって」と指示され、正常分娩であれば難しい手技ではないものの、「医師免許のないインターンなのに、こんなことやっていいのか」と思いながら、赤ちゃんを取り上げていた。もちろん当直の時は一晩中、眠れず、夜が明けると築地本願寺の鐘が「ゴーン」と鳴るのが聞こえた。本当に体力的には厳しかったが、「オギャー」って、生まれてくるのは感激の瞬間だった。産科医になろうかなと思ったこともある。 有名な俳優の奥さんの子どもを取り上げたこともあった。「先生、ありがとうございました」と言われると本当にうれしかった。「この人があの俳優か」とか思ったりもしてね。 インターン時代を懐かしく語る小柳仁氏。 もっとも、インターン時代、また医師になったばかりの頃も感じたが、病院で周囲から「小柳先生」と言われることに、正直違和感を覚えていた。「まだ若いのに、こんなことされていいのかな」というためらいだったかもしれない。そ...