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「俺が榊原だ。君、決心して来たまえ」◆Vol.7

スペシャル企画 2018年11月7日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 1年のインターン修了後は、母校の新潟大学の脳神経外科教室に行く予定だったが、進路を大きく変更した。 女子医大第一外科主任教授の榊原氏(提供:小柳氏) インターンの一人からある日、「女子医大の榊原仟(しげる)という人が、心臓を止めて何かをやっている」と聞いた。心臓は3分ほども止めたら、脳死になる。「心臓を止めるなんて、無理だろう」と疑問に思うと共に、面白そうだと興味を覚えた。 当時は1年間のインターン修了後に国家試験を受け、医師免許を取得する時代。秋のある日、国家試験の口頭試問を「国立東京第一病院」(現国立国際医療研究センター)で受けた後、そこから徒歩で10分ほどの場所にある、榊原先生が主任教授を務める女子医大第一外科医局を訪ねていった。アポイントもなく、突然の訪問だった。 医局に入ると、そこにいたのはひげを生やした、いかつい大男。温かみが感じられたものの、威厳があり、怖い感じの医師だった。しかし、「怖い」とは思わなかった。私に求めるものがあったからだろう。 昼食時であり、その医師はうどんを食べていた。私は「心臓を止めて、手術するなんて、理論的にはあり得ないと思います。心臓で外科は...