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不作為がもたらす心不全患者の死◆Vol.22

スペシャル企画 2018年11月22日 (木)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 世界から約40年遅れた日本の脳死下臓器移植について、小柳氏は医療者も反省すべきと主張する。 心臓疾患領域では、さまざまな治療法が発達、最後に残っているのが重症心不全だという。 新しい技術、医療が登場した際に、社会との摩擦や矛盾が起きるのは必然だ。その際、真に議論すべきは、その摩擦や矛盾を最小限にとどめ、新しい技術をいかに必要とする患者さんに早く届けるか、その方法を考えることではないだろうか。しかし、脳死臨調での議論は、何の対案も出さず、日本の脳死移植の制度設計を遅らせた。その遅滞の間に、どれほどの重症臓器不全患者の命が失われたのだろうか。その責任をいったいどう考えるべきなのか ──。 「国家は、その国のレベルの医療しか持てない」。私はこう思うのである。 同時に私たち、メディカル・プロフェッション自身も、反省しなければいけない。米国では1968年のシャムウエイの最初の移植後、同年に「Harvard criteria」という脳死基準を発表するなど、メディカル・プロフェッションとして心臓移植を進めるための体制整備をスピード感をもって進めた。 1968年当時の米大統領も、脳死に関するカウ...