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なぜ医師と患者はすれ違うのか? - 大竹文雄・阪大大学院経済学研究科教授に聞く◆Vol.1

インタビュー 2018年10月29日 (月)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

「なぜ患者さんは治療方針を決められないのか」 「なぜお医者さんは不安な気持ちをわかってくれないのか」 こんな文字が帯を飾る『医療現場の行動経済学』(東洋経済新報社)。編者の大竹文雄氏の肩書は、大阪大学大学院経済学研究科教授。行動経済学の立場から、「医師と患者のすれ違い」について事例を交えながら分析、解決の処方箋を提示する本書は、医療者も含め、計19人の共著。大竹氏に行動経済学の基本的な考え方や医療での応用例、本書のポイントなどをお聞きした(2018年10月5日にインタビュー。全3回の連載)。 ――行動経済学をご専門とする先生が、医療の分野に関心を持たれたのは、どのようなきっかけなのですか。 私は以前から、医師で小説家の久坂部羊先生の小説が好きで、ある新聞に『悪医』(朝日新聞出版)の書評を書いたことがあります。『悪医』を、行動経済学の視点で解釈した内容です。『医療現場の行動経済学』の「はじめに」にも、その一部を書いています。 「もうつらい治療を受けなくてもいいということです。(中略)あとは好きなことをして、時間を有意義に使ってください」 「治療法がないというのは、私にすれば、死ねと言われ...