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「奴隷の10年」経験者から見た医師の働き方改革◆Vol.25

スペシャル企画 2018年11月25日 (日)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 医療界では今、医師の働き方改革が議論になっているが、「奴隷の10年」など厳しい修業を重ねた世代にとって、今の議論はどのように映っているのだろうか。 確かに心臓外科の手術は、長時間に及ぶことが多い。勤務時間が過ぎたら、「はい、僕の手術は終わり」と言って、胸を開けたまま帰ることはあり得ない。手術が終わった後、仮に当直医だけを残して帰ってしまったら、最期のお看取りも当直医が担当するケースも出てくるだろう。長年共に歩んだ主治医が最期に立ち会わない医療でいいのかという思いがある。 私の若手時代は、「奴隷の10年」だった。そこまでには至らなくても、特に若い時には、多少無理してでもトレーニングをしたいと考える時期があるのではないだろうか。また医師によって、能力の差も、仕事に取り組む姿勢も違うのが事実であり、時間外労働の上限規制をはじめ、医師の働き方については、別の基準を作った方がいいと思う。確かに「前日に寝ていないパイロットの飛行機に乗るのか」と言われれば、それは問題だと思う。もちろん医療安全の確保は重要であり、連続勤務時間の上限を設定するなど、「これ以上、やってはいけない」という基準を設ける...