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「偏差値重視」の医学部入試に異議あり◆Vol.26

スペシャル企画 2018年11月26日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 小柳氏は、偏差値が高い高校生が医学部を目指す「医学部人気」の風潮にも疑義を呈する。 医療には言語化や数量化ができない部分が多い。「暗黙知」と言う。患者さんの顔が一人一人違うように、血管の走行が違う。米国のヒューストンに、デントン・クーリーという名外科医がいた。彼の有名な言葉に、「Diagram does not bleed」という名言がある。「教科書では、出血しない」という意味。 きれいな手術の写真を見ると、「自分もこんな手術をしてみたい」、「やってみよう、この次は」などと考える。これが次の世代を育てる。しかし、実際には時に出血するケースもあり得るが、その対応方法は教科書には書いていない。現実の手術では「予期せぬ出血」を想定して先回りして対応し、仮に出血した場合には、瞬時に機敏に対応しなければならない。 ありとあらゆる事態に冷静沈着に対応するためには、瞬間の判断と行動ができ、何事にもへこたれない――。それが医師の素養としては重要だと思う。 しかも、医師が相手にするのは、生身の患者さん。さまざまなバックグラウンドを持つ人を相手にしなければならず、きれいごとで済まされないことが山のよ...