1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「和田移植の検証」で負の遺産を乗り越えろ!◆Vol.27

「和田移植の検証」で負の遺産を乗り越えろ!◆Vol.27

スペシャル企画 2018年11月27日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 臓器移植に、人生の多くをかけてきた小柳氏。今後、取り組むべき課題の一つとして、和田移植の検証を挙げる。 日本で心臓移植が遅くなったのは、“和田移植”の検証をきちんと実施しなかったことが、大きな要因と指摘する。(写真:増元幸司) 和田寿郎先生が、札幌医科大学で“和田移植”を実施したのは1968年。私は当時、女子医大に入局してから5年目の医師にすぎなかった。疑問に思っても当時は、発言する立場にも、その機会もなかった。日本胸部外科学会でも、和田移植を検証すべきだという話は出たという。しかし、検証委員会の設置には至らず、「和田先生の勇気に拍手しようじゃないか」ということで終わってしまったと聞いた。 和田移植を受けた患者さんは、術後83日目に死亡。その後、和田先生は刑事訴追され、司法の判断を待つという話になり、医学界としてはそれ以降、その是非を議論し、検証する機会を持たなかった。これは異常なことだと思う。 日本で臓器移植が欧米諸国に比べて遅れてしまったこと、1997年の臓器移植法の成立まで待たなければいけなかったのは、やはり和田移植の影響が大きい。「今さら、検証しても仕方がない」とも言われ...