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臓器移植と同じ轍を踏まないために◆Vol.28【最終回】

スペシャル企画 2018年11月28日 (水)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 生殖補助医療、再生医療や遺伝子治療、AI(人工知能)など、さまざまな新しい医療技術が出てくる度に、倫理問題との衝突が起き得る。臓器移植と同じ轍を踏まないために、どんな枠組みが必要だと考えているのだろうか。 「この素晴らしい医療を、今の程度の国民負担で受けられる国は他にはない。今後もこの素晴らしい恩恵を受け続けるためには、多分野の頭脳が知恵を出し合うことが求められる」(写真:増元幸司) 例えば、iPS細胞技術を利用した再生医療。iPS細胞はがん化の恐れもある。それをうまくコントロールして再生医療につなげることが求められる。その前提を社会のコンセンサスにしておかないと、仮にがん化した場合に社会が過剰に反応し、iPS細胞をめぐる研究がストップしかねない。 あるいはオプジーボに代表される分子標的薬。オプジーボでは、薬価収載された後に、医療費に与える影響が問題になり、薬価は急きょ半分になってしまった。適応が拡大するのは分かっていたはず。これは対応として問題だ。何か問題が起きた場合、エキセントリックにその問題に反応する方がいる。問題が起きてからでは、社会が対応するのは容易ではない。 さらには...