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40年間で7000例の開心術、世界的な引用も◆Vol.17

スペシャル企画 2018年11月17日 (土)  橋本佳子(m3.com編集長)

── 21年間の教授時代も含め、約40年間の心臓外科医としての実績をお聞きした。 私自身、執刀した開心術が7000例、教室全体としては1万3000例以上を行っている。21年間の教授時代、教室員による学会発表は約3000回、論文数も1800本を超える。 さまざまな手術法を考案したが、世界的に引用された手術法が二つある。一つは、トランスロケーションという冠動脈の場所を移す手術法。もう一つが、心尖脱血の左室2方向駆出手術だ。 トランスロケーションは、感染性心内膜炎の患者さんなどが対象。大動脈弁が感染した場合、膿があふれ、人工的な弁を入れても、定着しない。その中に人工弁を入れても、それがまた感染源になる。そこで感染巣を全てきれいに開放し、冠状動脈を付け替えるという手法を考案した。私とメイヨー・クリニックのダニエルソンというドクターが、競合して手術をしていた。 心尖脱血の左室2方向駆出手術は、大動脈の壁が家族性高脂血症で脆弱なとき、左心室の心尖から腹部大動脈に弁付きグラフトをつなぎ、左心室から2方向に血液を駆出させて問題を解決する。私が手術を実施した女性は、この手術の21年間の世界最長生存記録と...