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日本発の2つの補助人工心臓、女子医大から◆Vol.19

スペシャル企画 2018年11月19日 (月)  橋本佳子(m3.com編集長)

── いくら術式の改良を進めても課題として残っていたのが、重症心不全の治療。そこで取り組んだのが補助人工心臓と心臓移植。これらは小柳氏のライフワークでもある。 補助人工心臓の開発は、米国で先んじて行われており、留学してその研究に取り組んでいた阿久津哲造先生が1981年、国立循環器病センター(現国立循環器病研究センター)研究所の副所長として戻ってこられた。阿久津先生は、名古屋大学出身で、若くしてクリーブランド・クリニックに留学して、人工臓器の第一人者であるウィレム・コルフ博士とともに1958年、世界初の人工心臓を使って、イヌを約1.5時間生存させることに成功した。その後、ヒューストンのテキサス・ハート・インスティテュートなどでも研究し、日本に戻ってきていた。 アメリカのグラントを取るために、阿久津先生と二人でボストン、ミネソタ、アナハイムなど、医療機器の会社が集まっている地域を回ったことがあった。アメリカではどんな研究環境で、人工心臓の研究を進めているのかをこの目で見たいという目的もあった。その帰りの飛行機の中で阿久津先生と、「眠っている日本に、火を点けよう」という話になった。 和田寿郎...