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1380万円の補助人工心臓「白物家電と違う」◆Vol.20

スペシャル企画 2018年11月20日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

── EVAHEARTとDuraHeart、二つの埋込型補助人工心臓を生み出したのが小柳氏の教室。EVAHEARTが完成した際のお祝いの会のエピソードを明かしてくれた。 補助人工心臓を作った、山崎健二君と野尻知里先生の二人は、重症心不全の患者さんを前に苦労している私の背中を見てきたのだと思う。あるいは「なぜ、あんなに頑張っているのだろう」と、疑問に思ったこともあるかもしれない。ただ、心臓移植が難しく、補助人工心臓もない中で、彼らは彼らなりに、「動かなくなった心臓をどうするか」という問いに、自ら行動し、答えを出していったのだと思う。 心臓外科の道を切り拓いたのは、フランスの外科医、アレキシル・カレルと、アメリカの飛行家、チャールズ・オーガスタス・リンドバーグだ。リンドバーグには心臓弁膜症をわずらっていた姉がおり、その治療法を開発したいと考えていたところ、偶然にも大西洋上の船の上で、カレルに出会った。理工学者でもあるリンドバーグは、「優れた酸素加装置と、優れたポンプがあれば、心臓と肺の機能を代行することができるのではないか」と提案した。その一見、突拍子もない意見を一笑に付さなかったのは、カ...