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論文説明は絶望で終わる-名郷直樹・武蔵国分寺公園クリニック院長に聞く◆Vol.3

インタビュー 2018年12月5日 (水)  聞き手・まとめ:岩崎雅子(m3.com編集部)

名郷直樹氏 ──1990年代に始まったEBMの動き、名郷先生は中心となって活動をされていますが、変化は感じていますか。 医学教育でEBMが必修化され、大学の授業で普通に取り扱われたり、若い世代で臨床の論文を沢山読んで臨床をやるすごい人が一定の割合で出てきたりと、変化は感じます。私も現在、聖マリアンナ医科大学、横浜市立大学、大分大学、宮崎大学の医学部でEBMの講義をしています。 ──講義ではどのようなことをされていますか。 授業には、実際自分が困った患者の例を使用しています。そこで自分自身がEBMに沿ってどう勉強し、論文を読んで、患者に説明したかということを教えます。まず「あなたたちだったらどのように説明する?」と実践させて、最後に「自分はこうやったよ」と伝える。 「論文結果を説明しなさい」というロールプレイがすごく盛り上がります。論文結果を患者に説明することがいかに困難であるかが分かるからです。だいたいは、患者を絶望させるだけで終わります。 先週は大分大学で、末期のがん患者の夫が、「妻が長生きできるならどんな治療でもやりたい。新聞記事で末期がんが治る薬が出たと読んだ。これはうちの妻には...