1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 「愛情も医療もやり過ぎると恐ろしい」-医師で作家・久坂部羊氏に聞く◆Vol.1

「愛情も医療もやり過ぎると恐ろしい」-医師で作家・久坂部羊氏に聞く◆Vol.1

インタビュー 2018年11月25日 (日)  聞き手・まとめ:岩崎雅子(m3.com編集部)

「もし、君が僕の葬式に来てくれるようなことになったら、そのときは僕を祝福してくれ」。そんな言葉を残して37歳の若さで死んだ医師・土岐佑介は、信州の医師家系に生まれた。佑介が「早死にの呪い」と称した土岐一族にかけられた”呪い”とはなんだったのか。佑介の死に隠された秘密とは──。医師で作家の久坂部羊氏が、早死にの医師一族をテーマに、5人の医師の5つの人生を追った短編集『祝葬』(講談社)。 久坂部氏は、「スーパードクターが活躍するハッピーエンドのドラマや小説が多いことに、釈然としない気持ちを抱えていた」と言う。久坂部氏が小説に込めた思いをお聞きした。(2018年11月1日にインタビュー。全3回の連載)。 ──『祝葬』は、比較的若い読者が多い『メフィスト』(ミステリーやSFなどエンターテインメント小説を扱う講談社の文芸誌)という、久坂部先生には珍しい媒体での連載ですが、きっかけは? メフィストの編集者の方から直接依頼がありました。それまでは長編書き下ろししか書いていなかったので、初めて書く短編でした。「『一族』というテーマで書いてもらえないか」と言われ、すぐ「早死にする医師一族の話がいいのでは...