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医師需給問題「本邦初」のテキスト - 桐野高明・佐賀県医療センター好生館理事長に聞く◆Vol.1

インタビュー 2018年12月15日 (土)  聞き手・まとめ:水谷悠(m3.com編集部)

佐賀県医療センター好生館理事長の桐野高明氏はこの9月、『医師の不足と過剰: 医療格差を医師の数から考える』(東京大学出版会)を上梓した。医療経済学の泰斗である二木立氏(前日本福祉大学学長)からは、医師需給問題を体系的にまとめたものとして「本邦初ではないか」とのコメントをもらったという本書。執筆の背景、問題意識を伺った(2018年10月9日にインタビュー。全2回の連載)。 ――医師需給問題を一冊の本にまとめたのは本邦初だそうですが、どのような経緯で書かれたのでしょうか。 日本学術会議で医学系の委員をやっていたことがあって、2007年に「医師の偏在問題の根底にあるもの 提言:量から質の医療への転換による克服」という報告書を出しました。その当時はあまり医師の需給問題について詳しく知りませんでした。勉強してまとめたのですが、この頃はまだ「医師不足」が話題として極めて大きくて、「偏在」を取り上げたら大変評判が悪く、偏在ももちろんあるけど根幹は医師不足が中心だという認識だったのです。2008年度に医学部定員の増員が始まる直前の時期ですからね。でも、医師偏在の問題はやはり大きな問題であり、時間をかけ...