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「がん撲滅」への道を示す2018年の本庶佑氏ノーベル・レクチャー

オピニオン 2018年12月11日 (火)  村中璃子(医師、ジャーナリスト)

「免疫チェックポイント阻害薬は、がんにおけるペニシリンの発見のようなものだ。ペニシリンはすべての感染症を克服したわけではないが、それに続く一連の抗生物質の開発により医学に革命をもたらした」 筆者は12月7日、スウェーデンのカロリンスカ研究所アウラメディアで行われたノーベル・レクチャーに出席する機会を得た。(撮影:筆者) 2018年ノーベル医学生理学賞は、免疫チェックポイントの発見と免疫チェックポイントを阻害することで免疫系を賦活化する新しいがん治療を確立した功績により、京都大学の本庶佑氏とテキサス大学アンダーソンがんセンターのジェームズ・アリソン氏に贈られた。 「免疫チェックポイント」とは、免疫細胞の表面にある、免疫に攻撃のストップをかけるブレーキのこと。これまでのがん免疫療法は、免疫の「アクセル」をふかすことで免疫の攻撃力を高めることを目的としていたが、免疫チェックポイント阻害薬は免疫にかかった「ブレーキ」を解除し、免疫が本来持っている攻撃力を回復させるという新しい発想により成功を収めたものだ。「手術・化学療法・放射線療法」を3本柱としてきたがん治療に、第4の柱を確立することとなった...