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「患者を不幸にしていた反省」から在宅へ - 佐々木淳・医療法人悠翔会理事長に聞く◆Vol.2

インタビュー 2019年1月12日 (土)  聞き手・まとめ:橋本佳子(m3.com編集長)

――「在宅医療カレッジ」のテーマは、「認知症ケアの学び」「高齢者ケアの学び」に、「地域共生社会の学び」を加えた3つが柱で、本書もその構成です。「地域共生社会の学び」を加えたのはどんな考えからですか。 在宅医療に関わる多職種が意識しなければいけないのは、「僕たちが生活を支えているわけではない」こと。在宅医療は、「治す医療」ではなく、「支える医療」だと言われますが、僕たちは支えていない。生活は、生活者本人がするものであって、僕たちはその人の不具合の一部をちょっと治すお手伝いをしているだけです。 「在宅医療カレッジ」を主宰する、医療法人悠翔会理事長の佐々木淳氏 例えば、「危ないから外出しちゃダメ」などと言うでしょう。けれども僕らにそれを言う権限はなく、行動を制限することで、その人が幸せになれるかなんて分かりません。「何かあったら、どうするのですか?」とも聞かれますが、「何か」は、いつか必ず訪れる。病気や障害が悪化するのをおびえながら生きるのではなく、病気や障害が治らないなら、残された時間をできるだけ有効に、楽しく、悔いが残らないようにしたい――。それが可能な地域を作っていかなければいけないと...