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「ワクチン暗黒の時代」から「ワクチン・ギャップ」の解消へ【平成の医療史30年◆予防接種行政編】

スペシャル企画 2019年1月23日 (水)  長倉克枝(m3.com編集部)

1994年(平成6年)の予防接種法改正により、予防接種行政はそれまでの社会防衛から個人防衛を考慮する方向へと大きく舵を切った。その背景には、昭和の終盤から相次いだ予防接種禍訴訟による国民からの信頼の失墜がある。平成の予防接種行政は、「ワクチン暗黒の時代」を経て、国民の信頼を回復し、欧米から20年遅れと言われた「ワクチン・ギャップ」を解消、国民誰もが安心して受けられる予防接種体制を再構築していく30年間だったと言える。 一方で、2013年(平成25年)4月に定期接種化されたHPVワクチンを巡って副反応の発生が社会問題化し、同年6月から積極的な接種勧奨が差し控えられるなど、予防接種を巡る適切な情報提供の問題は、引き続きポスト平成の課題として残った。 予防接種行政の平成30年間の歴史をたどるとともに、1990年代から予防接種行政に関与するだけでなく幅広い情報提供活動で行政と国民を繋ぐ役目を果たしてきた元国立感染症研究所感染症情報センターセンター長で川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦氏のインタビューを掲載(全5回の連載)。 1989年(平成元年)代〜ワクチン暗黒の時代 平成の幕開けは、予防接種...