1. m3.comトップ
  2. 医療維新
  3. 大学紛争とは距離、臨床実習で貴重な経験も◆Vol.5

大学紛争とは距離、臨床実習で貴重な経験も◆Vol.5

スペシャル企画 2019年2月5日 (火)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1960年代後半と言えば、大学紛争が全国的に巻き起こっていた時期。 1965年の入学から最初の2年間は、教養講義が中心。病理の先生で北村教授という、関西なまりが強いちょっと変わった先生がいました。入学後まもなく医学概論を担当されましたが、その内容は、病理ではなく、いかに教養を身に付けるかが主。「古典を読め」と。先生の言う古典は、二つ。なぜか先生はマルクス経済学が得意で、一つはマルクスの『資本論』。「一冊の本でいいので、隅から隅まで丁寧に読めば、人間が変わる」。そんなことを説かれていました。もう一つは、聖書です。袴姿で講義を行う倫理の先生もユニークで、カント哲学の本を読んだ記憶があります。 私は心理学的なアプローチに関心を持っていたのですが、講義は実験心理学的な内容で面白くなかったですね。機械的というか……。私は、サイエンスとして解釈できる以前の人間の深層心理に関心を持っていたので、東京医科歯科大学で教授をされていた島崎敏樹先生、自治医科大学の教授だった宮本忠雄先生などがお書きになった本を読んだりしていました。 医学部の講義は3年生くらいから本格化するはずでしたが、ちょうど新潟大学で...