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旧厚生省「家庭医構想」、頓挫という逆風◆Vol.15

スペシャル企画 2019年2月15日 (金)  橋本佳子(m3.com編集長)

――1984年12月に地域医療学講座の助教授に就任。その頃、浮上したのが「家庭医構想」だ。 当時は、伴信太郎先生(前名古屋大学医学系研究科教授、現愛知医科大学医学教育センター・特命教授、センター長)、福井次矢先生(聖路加国際病院院長)、福原俊一先生(京都大学大学院医学系研究科医療疫学教授)など、日本の総合診療、プライマリ・ケアの第一人者となられる先生方が、海外留学から帰ってこられた時期です。 旧厚生省は1985年6月、「家庭医に関する懇談会」を設置しました。旧厚生省としては、次世代のための家庭医制度を作りたいという意図だったと思います。当時の日本プライマリ・ケア学会、実地医家のための会から代表者が委員として加わりました。私もゲストスピーカーで呼んでいただいたり、その専門部会の委員も務めました。 しかし、ご承知の通り、日本医師会などから反発を受け、家庭医構想は頓挫。1987年4月の報告書では、「家庭医機能」と考えられるものを10項目挙げただけで、終わってしまいました。 家庭医構想を打ち上げられた時に、既存の開業医たちは、「自分たちのアイデンティティーがなくなる」、「自分の仕事がなくなる」...