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医学部再受験、有機化学の研究者から転身◆番外編「研修医」

オピニオン 2019年2月9日 (土)  JCHO札幌北辰病院 研修医 尾崎 孝爾

尾崎 孝爾 Takashi Ozaki JCHO札幌北辰病院 研修医1年目 【略歴】広島県出身。東京大学薬学部薬科学科卒業、東京大学大学院薬学系研究科卒業、大学院在籍中に理化学研究所(和光研究所)、イギリス University of Cambridge (Department of Chemistry) 勤務・留学。その後、2013年に北海道大学医学部に編入し2018年3月卒業。同4月からJCHO札幌北辰病院で臨床研修中。 手術室の扉を開け、入り口をくぐる。 目の前には、青いドレープと銀色に輝く無数の手術器具が所狭しと広がっている。 手術開始。 「キン」 音を立てながら金属製の器具たちはこなれた動きで、術者の手元に来ては戻りを繰り返す。 その律動的な動きは、まるで圧倒的かつ高級な芸術か何かを見ているよう。 動作が繰り返されるたびに術野は深く色とりどりに開かれ、病変部に到達。 あっという間の時間――。 これは、初期研修中の私が外科研修初日の体験を振り返った純粋な感想です。手術室というのは、およそ万人が到達することすらできない禁制の空間です。“外科の巨人”たちのみが入ることを許されたその...