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1990年代は予防接種「暗黒の時代」【平成の医療史30年◆予防接種行政編】

スペシャル企画 2019年2月7日 (木)  聞き手・まとめ:長倉克枝(m3.com編集部)

予防接種行政はワクチン開発・供給、制度の整備、国民への情報提供が重要な柱となる。1990年代からこれら3点に携わり、慈恵医大小児科から1997年に国立感染症研究所感染症情報センター室長に転じ、2000年に同センター長に就任以降、行政に関与するだけでなく幅広い情報提供活動で行政と国民を繋ぐ役目を果たしてきたのが岡部信彦氏だ。岡部氏に平成の予防接種行政を振り返っていただいた(2018年12月19日にインタビュー。全4回の連載)。 岡部氏 ――平成の予防接種行政を振り返ると、まず「予防接種禍訴訟」がありました。 昭和の後半から、定期接種の予防接種では複数の問題が重なっていました。1970年代から問題となった「種痘禍問題」です。天然痘は日本においては1955年以降には発生がなくなりましたが、天然痘ワクチン(種痘)は続けられてきました。海外から侵入の可能性はあったためです。WHO(世界保健機関)は1980年に地球上から天然痘が根絶されたとの宣言をし、世界中で種痘が中止になりました。種痘は副反応が強く、我が国では国内で天然痘が無くなったにもかかわらず、種痘を続け副反応としての脳炎が発生したことにつ...