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「医師の裁量の範囲」から「義務」へ【平成の医療史30年◆がん告知編】

スペシャル企画 2019年3月4日 (月)  岩崎雅子(m3.com編集部)

医師に任せる治療から、患者の自己決定を重視する治療へ──。治療方針について患者への説明が求められ、インフォームドコンセントが重視されるようになるなど、医師と患者の関係性はこの30年で大きく変化してきた。変化が端的に表れているのはがんの告知ではないだろうか。「非告知」から「告知」の時代となった転換点は1990~2000年ごろにある。世論からどのような要請があり、また、医師はどのように告知を受け入れたのか。がん告知の歴史を振り返るとともに、がん治療の変化やインフォームドコンセントの現状に関して研究した岡山大学大学院医歯薬学総合研究科消化器外科学教授の藤原俊義氏へのインタビューを掲載する(全3回の連載)。 告知率30年で80%増 昭和が終わり平成の始まる1990年前後、厚生労働省の全国遺族調査などを見ると、日本のがん告知率は15%ほどだった。しかし、厚生労働省が2007年(平成19年)から策定した「がん対策推進基本計画」では、「がん患者の就労支援」「がん患者の相談支援」などが重点項目に挙げられるなど、今では「告知」は政策の前提となっている。 がんの告知率に関する統計は見つからないが、厚労省な...